症状は全身におよび、年齢によって変化

アトピー性皮膚炎は、痒みのある湿疹を特徴とする皮膚疾患です。
初期は粉を吹いたようなかさついた状態となり、首や関節の周囲、耳たぶなど比較的皮膚の柔らかい部分に見られます。炎症の度合などは、人により様々ですが、症状は全身におよび、良くなったり悪くなったりを繰り返します。また、皮膚症状が、年齢によって変化するのも特徴です。
同症状は子どもに多く見られ、成長するに従い治っていくと言われていましたが、近年は成人になっても治らないばかりか、さらに悪化したり、慢性化することが多々見られるようになってきました。
原因は、まだはっきりしていませんが、遺伝的な体質に、環境要因(ストレスなど)が影響して発症すると考えられています。
なお、多くの患者様が、皮膚が乾燥しやすい素因(ドライスキン)とアトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)を併せもっています。

薬による治療で早期改善

治療において一番大切なのは、薬による治療です。アトピー性皮膚炎の外用薬としては、ステロイドの塗り薬とステロイド以外の免疫抑制薬の塗り薬(免疫抑制外用薬)があります。
ステロイドの塗り薬は、炎症を強く抑える作用を有し、免疫抑制外用薬は、過剰な免疫反応を抑えます。これらの薬剤を適切に使うことで、症状を早く改善し、良い状態を維持することが可能になります。
ほかに、痒みを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を補助的に用いたり、他の治療でなかなか良くならない重症の成人患者様では、ステロイド薬の飲み薬やシクロスポリン(免疫抑制薬)の飲み薬を服用したりすることがあります。また近年では、炎症を起こすサイトカインを抑えるタイプの外用薬や内服薬、注射薬などが登場し、紫外線治療を組み合わせるなど治療選択肢が広がっており、適切な治療を行っていきます。

早ければ生後2ヵ月から発症

小児アトピー性皮膚炎は、早い場合は生後2ヵ月頃から発症し、乳・幼児期と学童期に多く見られる症状でもあります。
発症するとひどい痒みに襲われ、湿疹ができ、乳児期には頭や顔などに、離乳期には特に口の周囲や頬に、赤くジクジクした湿疹がみられ、幼児期・学童期では、全身にわたって様々な症状が現れてきます。
治療方法としては、外用薬によって皮膚炎を鎮め、内服薬によって痒みを抑え、さらに保湿剤によって皮膚バリアを整えることが大切です。
適切な治療を行えば、アトピー性皮膚炎のお子様も、何ら問題無く日常生活を送ることができるようになりますので、必ず専門医にご相談し、その指示に従っていただく事が必要です。