汗の疾患に
力を入れております

汗の疾患

当院では、多汗症や腋臭症をはじめ、「汗の疾患」の治療に力を入れておりますので、ご相談ください。

多汗症

多汗症とは頭部・顔面や手足やわきの汗が通常の人よりずっと多く、そのために生活に支障をきたしている状態です。「紙に何かを書いていると、紙が湿ってよれよれになってしまう」「足から汗がいっぱい出て、嫌な臭いがする」「わきの汗が多く、冬でも衣服がぬれてしまう」――こうした症状でお困りの患者さんが少なからずいらっしゃると思います。こうした多汗症には、重症度や困り具合に対応した段階的な治療を提供します。

多汗症の治療

塩化アルミニウム外用

塩化アルミニウムは皮膚の角層と結合することで皮膚の表面にふたを作り、汗腺の穴を塞ぐことにより汗の量を減らす治療です。どの場所にも塗ることができるため、手足、わきのいずれにも使用が可能です。ただし刺激性があるため、傷があるところなどへの使用は控え、またヒリヒリするようなら使用を中止します。
当院では、汗の部位や重症度にあわせて各種の外用薬を準備しています。

水道水イオントフォレーシス療法

水を入れた専用の機器に弱い電流を流し、10分間ほど手や足などを浸します。電流を流すことで、汗孔(かんこう:汗が排出される出口)が潰れ、その数が少しずつ減っていくために、汗の量が減っていくと考えられています。欧米では一般的な治療法で、効果も比較的高いのですが、速効性には乏しく、週1回、5~10回を目安に効果を判定します。効果がでたら、個人の汗の様子で適宜間隔を空けて継続をしていきます。

ボトックス治療

ボトックスとは、ボツリヌス毒素(ボツリヌス菌が産生する毒素)から抽出した成分を用いる治療です。ボツリヌス毒素はその名の通り、毒性の高いものなのですが、ボトックスはそこから毒性を除去しているので、安全に使用できます。皮下にこのボトックスを注射して、交感神経から汗腺への刺激の伝達をブロックすることによって発汗を抑えます。手足、わきなどに用いられます。非常によく効く治療法なのですが、ボトックスの効果はずっと持続するわけではなく、効果の持続期間が最大で6ヶ月くらいなので、継続的な治療が必要です。保険が効く場合、自費診療の場合があります。

内服抗コリン薬

プロバンサインは神経系に作用する薬(保険適応)で、アセチルコリンという物質の動きを抑制して、発汗を抑制します。(抗コリン作用)。即効性が特長で、服用後1時間ほどで効果が現れ、約5時間効果が継続します。また、内服薬ですから全身に効果が出て、一度の服用で全身の汗を抑えることが可能です。服用に際して、閉塞性緑内障や前立腺肥大といった疾患をお持ちの方には服用いただけない場合があります。

外用の抗コリン薬

内服の抗コリン薬に伴う全身性の副作用(口渇や目の渇きなど)を軽減した、外用の抗コリン薬が、原発性腋窩多汗症に保険適用となりました。症状に応じた処方を行っていきます。

保険適用のボトックス注射

ボトックス注射は、全ての人に対して保険が適用されるわけではありません。保険が利くかどうかは医師が判断し、「特別な原因が無いのに日常生活に支障が生じるほど多くのわき汗が出る病気」であると診断された場合に限られます。
保険適用となるわき汗を正式には「重度の原発性腋窩多汗症」と言います。これは、わきの下に必要以上の発汗が生じる疾患で、わきから腕へと汗が垂れたり、服の両わきにシミができたりするほどの汗をかく状態のことです。ボトックス注射が保険適用となった背景には、ひどいわき汗によってQOL(生活の質)が低下してしまうのを防ぐ目的があります。

保険適用の具体的な条件

具体的には、以下の項目が当てはまる場合に保険適用になります。少しでも当てはまると思われた方は、お気軽にご相談ください。

  • 原因不明の過剰なわき汗が半年以上前から続いている
  • さらに以下6項目のうち2項目以上に当てはまる
  • 両わきで同じくらい多くの汗をかく
  • わきの汗が多いため、日常生活に支障が生じている
  • 週に1回以上、わきに多くの汗をかくことがある
  • このような症状は25歳より以前に始まった
  • 同じような症状をもつ家族や親戚がいる
  • 睡眠中は、わき汗がひどくない

ボトックス注射の治療の流れ

医師による問診
問診により、患者さんが「原発性腋窩多汗症多汗症」の診断基準を満たしているかどうかを判断します。
※ボトックス治療の前に外用の治療を行うも治療がうまくいかない重度の方に適応になります。
※ボトックス治療を保険でうつ場合には通常2回目の受診以降になります。
血液検査
原発性の多汗症でない可能性がある場合にはボトックス治療の前に血液検査を確認する場合があります。
ボトックス注射による治療を実施
1回の注射で効果は通常4~9ヶ月間持続するため、年に1~2回の治療で汗を抑えることができます(※個人差があります)。

わきが(腋臭症)

わきの汗の悩みは、人からにおいを指摘された、洋服が黄ばむという悩みと、わきから滴るくらい汗をかいて、ブラウスを着ると困ってしまう、などの悩みが聞かれます。においは、自分の判断ではなかなか正しい判定ができないものです。
当院では、医師がにおいの判定をし、重症度に応じて治療を提案します。

わきがの治療

剪除法(せんじょほう)、切除法、皮下組織吸引法、皮下組織掻爬法(そうはほう)、レーザー治療など様々な方法が考案されていますが、どれもが、においの原因となるアポクリン汗腺を減らすための目的のものです。その他、手術以外の方法として、消臭効果のある外用剤なども選択できます。
当院では、手術は行っておりませんので必要な方には該当施設をご紹介します。

*アポクリン腺
わきの下や陰部、肛門周囲、外耳道、乳暈など、限られた部位にある汗腺です。性ホルモンの影響を強く受け、思春期に活動が始まります。ここからの分泌物は白っぽい色をして粘り気があり、たんぱく質・脂質・糖質・アンモニア・鉄分などを含んでいます。こうした成分が常在菌によって分解され、「わきが」に特有のにおいが生じてきます。