2017-08-17

大人のアレルギー症状 ~今まで大丈夫だったので。は本当に大丈夫?

皮膚科に受診される患者さんの多くは湿疹で来院されます。

皮膚は、私たちの内側を外側から守っている臓器ですが、わずか0.2㎜という厚さです。携帯電話の画面が壊れないように貼る保護フィルムの厚さです。非常に薄いのですが、絶えず基底層という部分で新しい細胞が構築され、積み重なっていって最後は自ら剥がれる(=垢となって排出される)サイクルを繰り返しており、1サイクルは約45日と言われます。この構造が壊れたらなにが起こるか想像してみましょう。

やけどや擦り傷などの怪我など、外からの力で皮膚が少しでも傷ついた時、少しの刺激でも痛みを感じ傷の存在を思い出させてくれます。表皮の直下には知覚神経が網のようにその手を伸ばしていて、痛みや痒みを起こして私たちに外敵がきたよーと知らせてくれていて、あまり傷に触らない、傷つけないようにして傷が治るのを助けてくれています。さらに、不法侵入の犯罪者(外来物質)を探して逮捕する警察のような免疫担当細胞(ランゲルハンス細胞)、外来物質を食べるマクロファージなどが守ってくれています。

ところが、慢性に傷ついている場合はどうなるでしょうか?例えば水仕事がかかせない主婦や、飲食店の方、美容師さんなど、通常よりも手にダメージが加わる方の中には手湿疹の方は多くおられます。皮膚の構造が壊れた状態で毎日同じものを使っている状況があると、徐々にその物質を敵とみなしたとき、アレルギー反応が始まります

・パン屋さんの小麦アレルギー

・魚屋さんの魚のアレルギー

・毎月髪染めをしている方の染料によるアレルギーなどは、症状とお話しからわかりやすいのですが

・口紅をしている人の中でマカロンのアレルギー(コチニール色素による)

・牛肉アレルギーの方の抗がん剤アレルギー(α-gal)

・特定の洗顔石鹸を使っている人で小麦アレルギーなど

毎日皮膚に使用していたものでアレルギーを発症し、思ってもみなかった関連がある食べ物のアレルギーの症状がでることもあります。

 

このような事実から、皮膚科医はうるさく保湿、スキンケアをと患者さんにお話しするという結果になります。診察室での保湿の話は何回もきかれて耳にタコとは思いますが、どうぞご容赦ください。

まずは、経皮感作=皮膚のバリアが壊れるところから始まるアレルギー という導入のお話しでした。

ふくろう皮膚科の標語

I love スキンケア・You love スキンケア・We love スキンケア

予防できるアレルギーは、自分の行動から。

皮膚のバリアを壊さない、守るためにできること、引き続き話題にしていきたいと思います。

関連するちえぶくろうも共にお時間のあるときにお目通しいただけると幸いです。

4月29日ふくろう皮膚科内覧会 ~赤ちゃんから始めるアレルギーの予防~

院長 藤本智子