帯状疱疹ワクチンについて
今日は帯状疱疹ワクチンのお話しです。
帯状疱疹は、水痘(みずぼうそう)を起こす水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV:varicella-zoster virus)によって起こる疾患です。VZVは初感染でみずぼうそうを引き起こしますが、治ったあとは私たちの脊髄後根神経節に潜伏しています。ということは一生仲良く共存しているということです。そこで、加齢や疲労による細胞性免疫の低下がおこると、抑えきれなくなったVZVが再活性化して、今度は体の左右どちらか半分に、神経分布領域に一致して帯状に帯状疱疹を発症します。日本では80歳までに約3人に1人が発症するとされており、50歳以上が患者さんの7割を占めます。
そこで、水痘および50歳以上の方に対する帯状疱疹の予防として、ワクチンが使用できるようになりました。他のワクチンとの接種間隔や、投与に適さない方もおられますので、診察で最終的な判断となります。
今年の夏は、帯状疱疹の方がクリニックでも多くみられました。年齢も20代の方から80代の方まで分布され、決して高齢な方ばかりではないものの、重症になるのは高齢の方が多く、来院された方では数名入院加療のため近隣の医療機関に紹介させていただきました。入院となるとやはり体力が落ちて入院前の生活に戻るのに苦労されることもしばしばです。
帯状疱疹ワクチンは、そのようなリスクを軽減するために非常に有効なものと思います。
気になる方は一度ご相談ください。
院長 藤本智子
ニオイがみえる! コニカミノルタ
本日はまた汗の診療に関連した話題です。
汗の診療をしていると、ニオイに関してのご質問も多く受けます。ニオイ診療の中では主に腋臭症(わきが)の診断をすることが多いのですが、他にも、頭部や体、足の臭いや下半身の臭いの相談もあり、ニオイに関する悩みを抱える方は、洋服選び、デオドラント製剤、食べ物や調理方法まで気を使って、外出前にシャワーに入り、着替えを準備するといったできる限りの対策を日々とられている方も少なくありません。そういう人にとって通勤電車やエレベーターの中、会社や学校での生活は非常に緊張感があるものとなり、気が休まるときがないほどです。
においについての評価、病院では実際に患者さんに臭う部分にガーゼを当ててもらい、医師が臭いを嗅ぐガーゼテストという、アナログで原始的な方法を用いています。しかし、何人もテストをしていますから、本当に臭いがあるかないか、その程度はどのくらいか、重症度に合わせた治療の方針を立てることができます。自分のニオイを気にすることで日々の生活がしにくくなっていると感じる方はぜひ受診をお勧めします。実際の診療では、本人が気にされているほど臭わない方も非常に多くおられ、ニオイという見えない存在に振り回されることの背景には、ネガティブなイメージが過剰になっている社会的な背景もあるのではないかと思うこともしばしばあります。
そんな中、コニカミノルタ株式会社からニオイセンサー、kunkun bodyという製品が発表されました。
https://kunkunbody.konicaminolta.jp/、
測定できる部位は 頭、耳の後ろ、腋の下、足で、その部位の臭いを汗臭、ミドル脂臭、加齢臭に分解し総合結果を数値化するというものです。気になる人にとっては、第3者に頼ることなく出かける前のチェックとして使用でき、非常に助かる製品と思います。この数値化で、ニオイに関しての悩みが軽くなる人が多くなること、また医療現場でも活用できる可能性にも期待したいと思いました。
その一方で、診療をしている立場からはニオイ過剰症になっていないか、いつも無臭であること、さわやかな香りを身に着けることが当然という社会の風潮からくるプレッシャーが気になるニオイの原因になっていっているのではないか。という目線も常に持ちつつ、一人一人にの診療を行うことが、その人の悩みの解決につながるとも感じています。
ニオイの数値化のお話しでした。
院長 藤本智子
大人のアレルギー症状 ~今まで大丈夫だったので。は本当に大丈夫?
皮膚科に受診される患者さんの多くは湿疹で来院されます。
皮膚は、私たちの内側を外側から守っている臓器ですが、わずか0.2㎜という厚さです。携帯電話の画面が壊れないように貼る保護フィルムの厚さです。非常に薄いのですが、絶えず基底層という部分で新しい細胞が構築され、積み重なっていって最後は自ら剥がれる(=垢となって排出される)サイクルを繰り返しており、1サイクルは約45日と言われます。この構造が壊れたらなにが起こるか想像してみましょう。
やけどや擦り傷などの怪我など、外からの力で皮膚が少しでも傷ついた時、少しの刺激でも痛みを感じ傷の存在を思い出させてくれます。表皮の直下には知覚神経が網のようにその手を伸ばしていて、痛みや痒みを起こして私たちに外敵がきたよーと知らせてくれていて、あまり傷に触らない、傷つけないようにして傷が治るのを助けてくれています。さらに、不法侵入の犯罪者(外来物質)を探して逮捕する警察のような免疫担当細胞(ランゲルハンス細胞)、外来物質を食べるマクロファージなどが守ってくれています。
ところが、慢性に傷ついている場合はどうなるでしょうか?例えば水仕事がかかせない主婦や、飲食店の方、美容師さんなど、通常よりも手にダメージが加わる方の中には手湿疹の方は多くおられます。皮膚の構造が壊れた状態で毎日同じものを使っている状況があると、徐々にその物質を敵とみなしたとき、アレルギー反応が始まります。
・パン屋さんの小麦アレルギー
・魚屋さんの魚のアレルギー
・毎月髪染めをしている方の染料によるアレルギーなどは、症状とお話しからわかりやすいのですが
・口紅をしている人の中でマカロンのアレルギー(コチニール色素による)
・牛肉アレルギーの方の抗がん剤アレルギー(α-gal)
・特定の洗顔石鹸を使っている人で小麦アレルギーなど
毎日皮膚に使用していたものでアレルギーを発症し、思ってもみなかった関連がある食べ物のアレルギーの症状がでることもあります。
このような事実から、皮膚科医はうるさく保湿、スキンケアをと患者さんにお話しするという結果になります。診察室での保湿の話は何回もきかれて耳にタコとは思いますが、どうぞご容赦ください。
まずは、経皮感作=皮膚のバリアが壊れるところから始まるアレルギー という導入のお話しでした。
ふくろう皮膚科の標語
I love スキンケア・You love スキンケア・We love スキンケア
予防できるアレルギーは、自分の行動から。
皮膚のバリアを壊さない、守るためにできること、引き続き話題にしていきたいと思います。
関連するちえぶくろうも共にお時間のあるときにお目通しいただけると幸いです。
院長 藤本智子
伝染性紅斑 りんご病
伝染性紅斑とは、ヒトパルボウィルスB19による感染症で、典型的には、両ほほが紅くなり、リンゴのようなので、通称「りんご病」として広く知られています。潜伏期は2週間前後(感染7日程度でウィルス血症をきたし、約1週間続きます)。小児では軽度の風邪のような症状がでて体調が悪いのかな?と思っていると、顔面や腕、大腿などに淡い紅斑、あかみが出現してきます。皮膚症状は1週間程度で消退しますが、日光にあたると症状が再燃することがあります。
当院で、お子さんがりんご病にかかったというご家族がうっすら紅斑がでて来院されました。採血の結果は、ヒトパルボウィルスB19のIgMが陽性で診断確定でした。注意いただきたいのは、妊娠初期・中期の妊婦さんが感染すると赤ちゃんに先天性の病気が出てしまうこと。感染が疑われたら、公共の場になるべく出るのを控えること、マスクを着用することをお話ししています。
今年はふくろう皮膚科クリニック、夏季休暇はせずに夏を乗り切ろうと思っています。どうぞよろしくお願いします。
患者さまからもふくろうの置物をいただいたりしてますますにぎやかになってきています。この場を借りて感謝いたします。本当にありがとうございます。
院長 藤本智子
ふくろうはどこに ② 保湿剤たちに囲まれたふくろう
『ふくろうを探せ』 第二弾!
今回は保湿クリームの間にふくろうが二羽いますので探してみてください♪
保湿クリームは、スプレー、泡状スプレー、ローション、クリームなど色々なものがあり、患者さんの状態に応じて適切なものを選んでいます。夏と冬、顔と足では同じ保湿でも剤型でだいぶ使いごこちが変わりますね。
このふくろう達はキラキラしていてとても綺麗なのでお気に入りです。
当院にはふくろうグッズがたくさんあるので、いつもどれにしようか迷ってしまいます。
まだまだ続きそうです…
(スタッフ投稿)